◆【水】ロザンナ(CV.上坂すみれ)

数多くの家門の当主たちが領主と呼ばれていた時代、医師から長くは生きられないと告げられた小さな少女がいた。

後継者になるための教育など夢のまた夢。少女ができることといえば、病床から窓の外を眺めるくらいだった。なびく風と広い大海原。静かな水面に映る太陽と月、そして川のように煌く星々。彼女が夢見るものはサルディーナの全てだった。だが、彼女の両手に掴めるものは、自分が過ごす部屋の中にあるものだけだった。

「このまま、死を待つだけの運命なのだろうか?」

自分の運命について初めて考える機会を与えてくれたのは、友人のヴェロニカだった。人生に対する最後の反抗として小さな船に乗り、無計画に広い海を漂い、方角も光も、人の気配も見つけることができなくなった時……その瞬間に手を差し伸べてくれた人魚がいなければ、彼女は今、この大地に立っていることはできなかっただろう。

もちろん、全てが魔法のように解決することはなかった。健康な体を取り戻したといっても、これまで一族の本流から外れていた少女には、機会が与えられることはなかった。

少女は声を上げる代わりに、わずかな機会を逃すまいと、その時を待ちつつ静かに息をひそめて力を蓄えていった。メディチ家のどこかに「不老の魔女」がいるという噂が広まった時、そして一族の大人たちが、少女が努力して積み重ねてきた力に気付いた時に全てが始まった。メディチ家に血の嵐が起きたのだ。自らの手で家門の当主の座を手に入れた少女は、数十年の歳月が経っても少女の姿をしていた。

鉄血の当主が共和国の統領と呼ばれるまで、気が遠くなるほどの長い時間、数え切れないほどの逆境を乗り越えてきた。どれほどの苦難に見舞われたとしても、ぶれることなく、サルディーナの最も重い錨として国の重心を守った。彼女を救ってくれた友が側にいなくても、その魂は永遠に彼女の心の中で生き続けていると信じながら。

◆ 【水】ロザンナのスキル紹介