フラムを知る者なら誰もが口をそろえてこう言った。「理想的な騎士」と。竜が守護する国、西の覇者アヴァロンでは、まるで神話の伝説かのように次々と強力な騎士が誕生した。性格は皆千差万別であったが、国家と国民に対する忠誠心だけは一貫していた。そしてフラムもまた、そのような名を継ぐにふさわしい者だった。若くして叙任されるや否やその才能は頭角を現し、誰もがフラムが次世代の真の「騎士」になることを信じて疑わなかった。そしてそれはフラム自身も例外ではなかった。

しかし、フラムはすぐに気づいたのだ。個人が逆らうことのできないような巨大な災いに直面した時、人は選択する資格すら与えられないということを。騎士としての名誉を高めることができたのは、自分の名前を呼ぶ人々が生きていたからだということを。人知を超えた災いの中、フラムの声は埋もれ、背中を預けていた仲間たちは一目散に逃げていった。生き残るために選択した道の先にあったのは、ずらりと並ぶ死体の山だった。フラムはどうすればよかったのかと自問自答を繰り返した。

世界が散り散りになり崩壊する中、フラムは生き残った。普通の人よりも少し強く、少し生き残る意志が強かったからだろうか。それとも普通の人より罪悪感に押しつぶされることなく前を向く方法を知っていたからかもしれない。フラムは必死に「大義」を信じた。生きるための原動力が必要だったからなのか、それとも失意から克服するための手段を望んでいたのか。それは常に答えを探し求めるフラムにすらも分からない。しかし、再び同じ状況に直面したとしても、同じ選択をすることだけは明白だった。

だから、躊躇や後悔は捨てることに決めた。フラムはこれから先、どこにいたとしても、どんな手段を使ってでも、必ず生き残ると誓ったのだから。